病気に対する医師の認識の問題

Frank Albrecth, Ph.D.



サイト:http://www.cfids.org/archives/2000/2000-2-article08.asp
原 題:Doctors' Illness (Dis)beliefs
著 者:Frank Albrecth, Ph.D.



あなたは、体力低下、疲労、抑うつ、食欲不振、体重の減少、手足の痺れ、ふらふら感やバランス感覚の喪失、記憶力の低下、注意力の低下、変わった症状としては舌のひりひり感や歯茎からの出血などの症状などがあり、そのことを医師に訴えたとします。

2000年2月22日付けワシントンポスト紙の健康欄に、そのようなケースが紹介されています。これらの症状が明らかに見られているのに、何人もの医師に診てもらっても、誰一人として正確な診断ができず、最後に、神経科医がビタミンB12欠乏を思いつき、血液検査を行った結果、悪性の貧血であると判明したというものです。

血液の専門医であれば、すぐにこの病気を疑っていたでしょう。しかし、一般開業医であっても医師や専門家が知らなければならない病気の数は、現在では数千にも上ります。しかし、残念ながら、医師は専門の分野に関しては深い知識を持っていますが、それ以外のほとんどのことについては、よくわからないというのが現実なのです。

このような現状に加え、医師の姿勢の問題もあります。例えば、筋痛性脳脊髄炎(ME)、または慢性疲労免疫障害症候群(CFIDS)を患う9才の少女が、目と首の急な痛みと微熱を訴えて病院へ行ったときのことです。その病院の医師は、ウィルスが原因であるとして、何もしませんでした。母親は娘を連れて帰り、解熱剤を飲ませましたが、夜になって子供は40度の熱を出し、救急病院へ運ばれることになりました。母親によると、そのあとの顛末は次のとおりです。

「まず医師は、娘が何か病気を持っているかどうか尋ねました。そのとき、私はMEのことを言ってしまったのです。医師はそれを聞くと笑いながら『子供が?そんなはずはない』と言いました。学校はどこかと聞くので、(学校に行けないので)家庭学習をしていますと答えると、『学校に戻る時期だと思いませんか?同級生と一緒になったら、いっぺんに元気になりますよ』と言いました。私は、その言葉にカチンと来て、医者の目を見て、冷たく冷静にいいました。『見てください、病気の子供がいるんです。ここで、あなたと学校のことなんか議論したくありません。この子が、なぜ、こんなに高い熱が出ているのかを診てほしいから来ているんです。だから、今はこの子を診てください』医師は少し驚いた様子でしたが、また問診を始めました。その間にも、娘は汗をびっしょりかき、今にも泣き出しそうで、殆んど歩く事もできず、真っ赤な顔をしていたのです」

結局、子供の病名は扁桃炎だと分かりました。でも、それなら、かかりつけの医者がそう診断していてもおかしくはありません。では、なぜ、わからなかったのでしょうか?それは、おそらく子供がMEであることを知っていたからかもしれません。その医師がどう思っていたか、考えてみてください。「ああ、またありもしない病気で苦痛を訴えている。いつものことだ」と思ったのかもしれません。救急病院の医師も、母親がしつこく言わなければ、高熱にもかかわらず本当の問題を同じように見落としていたかもしれません。

このように、専門家が知っていることと知らないことはお互いに絡み合い、診療の現場では、それが混乱した病気の認知の問題として現れてくるのです。

医者は、しばしばわかるものだけを診て、すぐにはわからない症状について説明を求められることを、良く思わないことがあります。数年前、狂牛病で亡くなったイギリスのある女性は、最初は精神科医に「ヒステリー性神経症」と診断されていました。

私は、私の家族の治療においても、同じような経験をしています。その解決法として、私は、診断アルゴリズムをインターネット上に置くと良いのではないかと考えています。症状、検査結果、実験結果を入力すると、可能性のある病名、または診断に必要なそのほかの検査が出力されるようにするのです。そうしない限り、医師の主観が、検査データと同様に、診断を大きく左右するという状況が続くのです。

ME/CFIDSに対しては、それらがつらい現実から逃げるための言い訳などではなく、深刻な病気であるということを、全ての医師に理解していただく必要があります。この病気を心理的なものだとする考えが、医学会で主流になるとすれば、近代医学は、今後むしろ悪い方向へ進んで行くことでしょう。


翻訳: Jp-care


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