TR-0004 1998.11.18

医師達による治療法情報交換、AACFS 医学学会にて



学会にあとから付け加えられた、恐らく最も現実的であろうと思われるセッションがあった。 月曜日の早朝、36人ほどの医師と数人の看護婦、セラピストが自分達がCFS患者と接した経験について、それぞれがお互いに質問し、自分達の経験を交換する為に話し合った。その中で、narcotics (麻薬)の処方、立ちくらみの治療、抗鬱剤の役目、睡眠の改善、家庭内虐待の扱い、障害とその管理ケアなどについてが、話し合われた。

 

[睡眠障害について]

 最初に治療しなければいけないターゲットは、「睡眠の改善」という事で、一般に意見が一致した。その中で、数人は Klonopinを使った成功例を報告した。睡眠の研究について managed care programs [管理ケア・プログラム] から研究費を得るのは難しい事から、ある医師は、「とにかく最初にいくつかの薬を試してみる、そして、その薬が効果がなかった場合、正式な研究を要求する。」この医師によると、ほとんどの睡眠研究の研究所は「薬を服用していない状態の患者」を求めるが、この医師は、患者は薬を服用した状態で睡眠をとるようになるので薬を続けたまま研究するよう主張している。

医師達は、地域によっては、睡眠研究所が、かなりの数の待機者リストをかかえる状態に なっている事を話した。この会談のあった部屋にいた、半分の医師は最初の選択として抗鬱剤を使った事を報告した。抗鬱剤処方の理由は、鬱症状に対してではなく、「立ちくらみ」や「免疫システムに働きがあるという可能性」について効果があるようだということからであった。これらの抗鬱剤は、SSRI (selective serotonin re-uptake inhibitors)と呼ばれる薬で、脳の神経インパルスに影響し、ある医師によると、「脳、特にセロトニンを主にコントロールする側頭葉で起こっている出来事を修正しているのかもしれない」という。あるタイプの患者の「あたまがぼーっとする症状(はっきりものが考えられない症状)」に、これらの薬が効果を示すかもしれない。

 

[塩と水分]

ひどい立ちくらみ、または、Neurally Mediated Hypotension について、医師は、Fludrocortisone を使用する前に、「塩と水分を取る事」から始めた方が良いという点で合意した。「何かが効果があったらとにかく、それを続ける」というのがアドヴァイスであった。

医師達は、「ある患者達は、ストッキングの締め付けが、足に水分がたまる事を防ぐのに役立つ事を発見した」と語った。もっと一般的な「ひざまでのストッキング」は、一日中立ち仕事に従事する人に役にたつという。他の簡単な方法は、ベッドの頭のほうを高くする、または、何か柔らかいものを患者の頭の下にあてがう事(とにかく頭を高くする)によって、「立っている姿勢から横になっている姿勢の変化を少なくするという方法がある。

特に「チャレンジ精神豊かな患者」について、医師達は、「患者が服用している薬の数を減らす事が、症状改善に役立つ場合がある」と語った。多くの薬を服用する事は、睡眠のパターンを混乱させると、ある医師は指摘していた。 数人の医師が「患者を、数多くの種類の薬の摂取状態から"解毒"させた事」を報告し、ある医師は「大量の鎮痛剤を使っているCFSの患者では、CFSそのものの症状と、鎮痛剤の過剰摂取からくるものを区別するのが難しかった」と語っていた。

「強い痛み止めの必要なタイプのCFS患者」に対しては、麻薬(narcotics)を使う事によって成功した例を紹介した。narcoticsは、患者の頭を、より はっきりさせることにつながった。麻薬類を使う患者は、低い量、安定した量を用い、Oxycontin か MS Continなど遅い効果のあるものを優先選択すべきである。

 

[家庭内虐待とその懸念]

 医師は、病気からくる一つ現れとして、家庭内虐待を上げた。ある医師は、「もし、父や夫が患者と一緒にいつも医師を訪れ、ずっと患者にくっついていて部屋を離れないようだったら、家庭内虐待を疑う」と語った。 他の医師は、ある患者の様子を一人きりにして様子をみる為に入院させた事があると報告。また、ある医師は、「一見元気そうに見える患者の扱いに対して、家族のメンバーがあまりにもフラストレーションを起こし、そのフラストレーションが家庭内虐待に結びつく」と指摘した。
医師達は、患者の親が、親にとって都合がよいように子供の病気を偽ったり誇張したりする代替によるMuhchausen's syndrome という診断」についても話し合った.。
ある心理学者は、Muchanusen's syndrome は滅多にない稀なケースなので、誤って家族を非難した場合、深刻な問題を引き起こす原因になりうる事を指摘した。

 

[臨床研究]

Dr. Nancy Klimas、このディスカッションの音頭を取った医師、は、今後このようなディスカッションがもっと開かれる事を希望していると伝えた。 その中で、Dr. Klimas は、通常の診察を通してCFSに関する研究はかなりの数にのぼっている。Dr. Klimasは、American Association for Chronic Fatigue Syndrome が、個々の医師が研究に着手するのを援助し、「統計的分析」という研究上最も困難な部門を支援してくれる]と、参加した医師達に伝えた。 医師達は、データの集積の可能性、特に、長期に渡る方法について手短かに話し合った。



この記事は、CFIDS Chronicle (Vol. 11, No. 6)、11、12月合併号にあったもので、
著作権は、CFIDS Association of America, Inc., PO Box 220398, Charlotte, NC 28222-0398、電話 800/44-CFIDS
以上、CFIDS Association of Americaの許可を得て、上記の部分を訳しました。 翻訳者の許可なく転送、コピーは固く禁じます。




翻訳:
Co-Cure-Japan, R.Kageyama


元に戻る


Copyright © 2001-2002 Co-Cure-Japan, all right reserved
ご意見/ご感想はこちらまで。
Please report any problems with this page to the Webmaster.





inserted by FC2 system