慢性疲労症候群・日本の状況

 

 

「慢性疲労症候群」は、日本では2008年、正式に、日本内科学会により膠原病類縁疾患=「自己免疫疾患」=免疫の病気として

  総合医・専門医の教育・育成が行われている。

 

『自己免疫疾患』の分野では「免疫・神経・内分泌」の関わりは大変古くから論じられている (以下一部紹介)

  http://elekitel.jp/elekitel/sci_talk/content/defend/defend01.htm

    ・上野川 修一 Syuuichi Kaminogawa 東京大学農学生命科学研究科教授

    ・広川 勝いく Katsuiku Hirokawa 東京医科歯科大学 医学部感染免疫病理学教授

 

 

現段階で慢性疲労症候群を診察する医師は「膠原病内科医」 となっているが、

   日本の膠原病内科専門医は”関節リウマチ”を主に専門とする「リウマチ医」が殆どであり、各疾患の知識はあっても、

   自己免疫疾患「全体像」を充分に把握・熟知している医師が非常に少ないことも混乱の一因となっている。

 

             ・日本内科学会 ”研修カリキュラム2011”−「内容・項目別」−("膠原病および類縁疾患") を参照されたし

              (English: The Japanese Society of Internal Medicine)

              「研修カリキュラム20011 委員一覧」: http://www.naika.or.jp/nintei/curriculum/cu_19.pdf



 

[日本の「慢性疲労症候群」について]

 

[ I ] 

    慢性疲労症候群はベーチェット病との類似点が多く、ベーチェット病患者数が極端に少ないヨーロッパでは、慢性疲労症候群に対する

    医学界の理解が非常に困難な事から、今でも精神疾患として扱われており、大きな社会問題になっている。

    日本はベーチェット患者数が大変多い事から、「理解」の面では、欧米とは全く事情が異なる。

         

                ・「ベーチェット病」=血管炎の一種。

              (あらゆるサイズの動脈・静脈に炎症を起こし、血管が詰まったり内壁に傷がつく事により、全身に多彩な症状が出現する原因不明の難病)

 

 

   "血管炎" (from the American College of Rheumatology, 2013)      

    "ベーチェット病を含む血管炎の概念について" (大阪大学, 2012) 

 

 

[ II ]

    最近ヨーロッパで「Rituximab(リツキシマブ)」(※1, 2)や「Cyclophosphamide (エンドキサン) 」(※3)の治験が行われているが、

    日本では1993年の時点で、故・内田恩士教授(京大・腫瘍学)らにより慢性疲労症候群を「免疫の病気」として

    抗悪性腫瘍剤(シゾフィラン)を用いた治療が試みられ好成績を残していた。

 

特許:慢性疲労症候群治療剤:内田 温士 (京都大学教授:1996年没)               

β−1,3−グルコシド結合を主鎖とする多糖体を有効成分とする慢性疲労症候群治療剤                 http://www.j-tokkyo.com/1993/A61K/JPH05-262654.shtml               

 

           1: 「リツキシマブ・トライアル」に関する論文 (Running title: B-cell depletion in CFS)

                   http://www.jautoimdis.com/imedia/9930070027668241_manuscript.pdf

           2: 最新のリツキシマブ治験では、「治験者152人(重症4人)、Open Phase-II Trial」

       3. エンドキサン治験について   

 

[ III ]

    その後、日本では「脳のメカニズム」ばかりがクローズアップされ(「炎症反応が上昇しないのは脳の病気だから」など)、

    今や治療面でも欧米に遅れようとしている。欧米に比べ、遙かに慢性疲労症候群を理解しやすい背景を持ちながら、大変もったいない話である。

 

日本の研究班は、最近になってようやく「自己免疫疾患」と言い始めたが、

論点は、「1990年代当時、既に慢性疲労症候群は”免疫の病気”と認識されていた」というところにある。

http://wabun.ryumachi-jp.com/async/getlistbyyear/?year=1994&no=02.html (W27-2 〜W27-7)

故・内田教授(京大)は1991年発足された「慢性疲労症候群研究班」(旧厚生省)発足当時から亡くなる1996年まで主要な研究員であった

----「慢性疲労症候群研究班」(旧厚生省)が打ち切られたのは1997年。

       当時の研究班は「慢性疲労症候群専門家」など存在せず、患者の言葉を頼りに、

       膠原病内科医や癌の専門家を交え、多角的な研究が非常に活発であった----

 

慢性疲労症候群は、多くの自己免疫疾患と同じく未だ全貌が解っていない。

多様な研究が必要な免疫の病気であり、多分野にわたる専門医達の積極的報告・研究参加に期待される。

 

 

 

もし慢性疲労症候群を信じない免疫専門家がいたら、その医師は「免疫」をよく知らない

(慢性疲労症候群専門医や膠原病内科専門医でなくとも『免疫の専門家』には「理解出来る病態として早くから知られていた)

「免疫の専門家」とは”免疫”に関わる様々な疾患 (自己免疫疾患だけでなく、感染症、癌、移植片拒絶、アレルギー反応など) 各分野の専門家。

<膠原病内科専門医だけが免疫の専門家「ではない」:彼らは免疫の『一部』をよく知っているが、「他分野の免疫について」あまり知らない>

〜”免疫”について(参照):http://www.ifrec.osaka-u.ac.jp/jpn/outline/index.php 〜

日本の慢性疲労症候群の場合、完全に「縦割り医療」の犠牲に見える。

このままの体制で本当にいいのか?これまでの縦割り医療で本当に国民を守りきれるのか?

 

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最大の問題は「炎症反応(CRP,ESR)が正常」な為「炎症性の疾患ではない」とされることにある。▼

(全身性炎症があるにも関わらず「炎症反応(CRP、ESR)が正常」は、自己免疫疾患に比較的よく見られる)

<炎症反応(CRP,ESR)について>

炎症物質はCRPやESRだけではない。

 

全身性炎症を起こしている時に炎症反応が上昇しないのは「脳の炎症を原因とする疾患」に特有のもの”ではない”。

(自己免疫疾患中でも「血管炎」では、破壊的な激しい全身性炎症の真っ最中に「血沈もCRPも上昇しない」という例はよく見られる)

 

自己免疫疾患で炎症反応上昇を伴わないケースでは、急性期・慢性期を問わず

「プレドニゾロン服用中」、「長期ステロイド関節腔内注射中」、または「免疫抑制剤服用中」に

炎症反応が”無意味に”軽微な上昇をしたり、細菌・ウィルス感染に対し”若干”上昇したり、

何に対しても”全く”反応しない、あるいは合致するという具合で、殆ど治療の指標にならない。

もし炎症反応が上昇したら、他の病気や合併症の悪化なども考え、よく調べた方が良い)

 

 

…『炎症反応が正常だから炎症性疾患でない』と片付けられる問題は、

"慢性疲労症候群"、"ベーチェット"、"再発性多発性軟骨炎" や”血管炎関連S L E・関節リウマチ"

など血管炎(自己免疫疾患)だけではなく「肺結核」でも見られ、

現医学界常識における最も重大かつ深刻な問題である(下記)…

 

                                   ・自己免疫疾患の一例再発性多発性軟骨炎 (詳細)

                                   ・肺結核の場合[清瀬複十字病院]  http://www.jata.or.jp/rit/rj/kekkaku/79ito309.pdf

                      

慢性疲労症候群の存在を認めない医師や、膠原病リウマチ科でさえ、「炎症性疾患ではない」という理由で

診察を拒否している病院が殆どであるが膠原病リウマチ科では炎症反応や抗体など血液検査に異常が出ないタイプの

ベーチェット患者の診察をしている現状を考えると明らかに矛盾がある。(炎症反応絶対信奉は大変危険である

 

子供の慢性疲労症候群の実態は非常に深刻である。

CFSを認めない派の医師達には、『この状況に置かれた自分の子供・家族ならどうするか』真剣に考え、対応策を考えて頂きたい。

「病気は人を選ばない」  医師自身に降りかかることでもあり、心して頂きたい。

 

 

 

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1.慢性疲労症候群の特徴

 

2.慢性疲労症候群の経過

 

3.慢性疲労症候群の実態 <--

 

4.慢性疲労症候群患者の手術

 

5.病名変更について <--

 

6.治療薬について <--

 

7.緊急課題

 

8.患者における注意点

 

9.医師の皆様へ

 

 


 

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