慢性疲労症候群の「治療法」について

 

1.<生物製剤について>

現在、スウェーデンで生物製剤(モノクローナル抗体)「リツキシマブ」(Rituximab)を使った治験が行われているが、

おおまかに、生物製剤に対する反応は、1.「薬に反応する患者」、2.「反応しない患者」、3.「副作用で薬が使えない患者」に分けられる。

ようやく、日本でも、自己免疫疾患の患者に対する生物製剤投与が当たり前のようになってきたが、同時に、生物製剤が使えない

「生物製剤難民」の存在も多く認められるようになり、そのような患者の対応策として、臨床医の間で「ステロイド」が見直されている。

 

※リツキシマブ(リツキサン)は、現時点では非常に高価な薬であり、日本での保険適応症(現地点)は、

 

   [血液癌]

        CD20陽性の非ホジキンリンパ腫、

        免疫抑制状態下のCD20陽性のB細胞性リンパ増殖性疾患

   [自己免疫疾患]:

        多発血管炎性肉芽腫症(GPA, 旧称:ウェゲナー肉芽腫症)、

        顕微鏡的多発血管炎 (MPA)

   [腎臓病]:

        難治性のネフローゼ症候群(頻回再発型あるいはステロイド依存性を示す場合)

 

 

 

以下の治療法は、10年以上前に、医師達によって真剣に議論されたものであるが、ステロイド、リハビリ療法・作業療法を含め、今でも充分通用する対応策である。

     ※アンプリジェンは慢性疲労症候群に対する安全性・効果が認められずFDAは却下した(2012年)--後述4

 

 

2.<ステロイドについて>

「フロリネフ情報」--John Hopkin's 大学発表、Journal of American Medical Association(JAMA)掲載

 

 

3.<リハビリ療法について>

日本では、「心臓リハビリ」、「リウマチリハビリ」、「癌リハビリ」などが有名で、症状を軽減させる『補助的役割』を果たしてくれる。

人間が動物である限り、どの疾患であっても”軽い運動(体操・ストレッチなど)”を「うまく」とりいれる事である程度症状は軽減されるが、リハビリは「各疾患の特徴」を

しっかり理解・把握した上でデザイン・設計されたものでなければならない必要性がある。(疾患の特徴を把握せず設計されたリハビリでは逆に症状を悪化させる

慢性疲労症候群の場合、症状が多彩で、循環器に問題を抱える患者も多く、「どの種類のリハビリが自分に合っているのか」、オーダーを出す側の医師によく相談する。

(循環器の症状が強い場合は循環器内科医に相談->「心臓リハビリ」、関節症状が強い場合は整形外科医に相談->「リウマチ・リハビリ」、

全身症状があまりにも強い場合(動けない場合)は「呼吸リハビリ」など)

目標設定を「血流を良くする」程度にしていても、その時の自分の体調把握が難しい為、時には上手くいかない事もあり難しいが、各専門の理学療法士の指導を

受けることが出来れば、一人で試行錯誤するより危険性が低く、効率が良い。(共存テクニック参照

(日本の場合、検査結果を振り回す医師より遥かに真剣に対応・指導してくれ、頼りがいのあるプロ集団が多いことが特徴的である)

 

 

4.<アンプリジェンについて>

 当時期待されたアンプリジェンに関しては、使用後、病態を更に 悪化させたケースも少なくなく、そのまま体調が戻らず

死亡したケースもある。(米国CFS認定患者「第01号」)。

「アンプリジェンについて」その後 (2012年12月20日)

  CFS/MEに対する安全性・効果が認められず、  FDAはアンプリジェンを却下した。 

 -記事(原文)- 

 

 

 

5.心理的な工夫

心理的な工夫だけで治るような病気ではないが、全力で対応しなければならない場面がある。

あまりにも強い疲労感・倦怠感から「生きるのが面倒くさい」「死んだ方がまし」「生きているのが嫌なる」「早く死にたい」など自殺を考える時である。

そういう時は、持てる力を振り絞り、必死で『”体が”疲れている』と”正しいサイン”に置き換え「休息をとる」。

一生の間、何十・何百回そういう場面に遭遇するかもしれないが、毎回、このサインが出たら、くしゃみ、鼻水、咳などと同じく、

「体の疲れのサイン」と正確な解釈に直して、積極的に「休息」をとる。生死がかかっている。必死で対応する。

・・・本当に死ぬ前に、「まず休息をとってみる」(仮眠など)。慢性疲労症候群はうつ病「ではない」。体調が回復したら「死にたい」などは考えない。

・・・これらの努力は誰も認めてくれない努力であるが「自分の努力は自分が知っていればよい」と割り切る。

 


 

慢性疲労症候群の「治療薬」について:

 

1.治療薬の一つとして検討される「生物製剤」は、患者の年齢が若い方が治療成績もよく副作用が出にくいとされている。

 

  慢性疲労症候群では、ある年齢から突然「多様な疾患」や「薬の副作用発現」が連鎖反応のように起きる事が多く、

  まるで時限爆弾のようである。いつまでも「炎症反応が陰性だから気のせい」で治療が手遅れになると取り返しがつかなくなる。

  (「生物製剤」などはその典型で、たとえ顕著な効果があっても副作用の為に中止せざるをえなくなり、使えない)

  一にも二にも「早期発見・早期診断・早期治療(休養)」が必要であり、炎症反応が上昇しない限り、医師が「気のせい」

  「大したことない」とするのは人殺しに等しい行為である。 

 

2.医師達から「慢性疲労症候群にそんな強い薬を使うなどとんでもない」という言葉を聞くことが多いが、「病名」が悪いのであって、

  慢性疲労症候群という病態そのものは、中程度より重度の場合、それらの薬を使わず簡単に社会復帰出来る病気ではない。

  (非常に難しい病気である)

 

リツキシマブにせよ、ステロイドにせよ、「自己免疫疾患の治療薬」は、副作用が非常に強く、安全とは言え切れず、

扱える医師も限られている。「漢方」と言われても、社会復帰までに時間がかってしまい、通常、難しい。

早急に、『正しい理解を得られる(治療に繋がる)病名』と『安全かつ有効な治療薬開発』が必要である。

--病名について: 「ベーチェット」を沢山経験している日本では「欧米がこうだから」という理由だけでは医学界が納得しない--

 

 ※「慢性疲労症候群」とは・・・ 死亡者リストの”多様な”死亡原因を参照  ・・・何がそうさせるか知識のある医師なら解る筈である

 

          ”冠攣縮性狭心症”や”顕微鏡的多発血管炎”ように、『日本』という「世界の医学界からみた地方」からも貢献出来る分野が沢山存在する。

          日本だけを見た場合も同様のことが言える。中央は何かと動きが遅い。それより更に地方が遅れていては人口減少の激しい「地方」は

          成り立って行かない。これからは従来の「地方置き去り型医学」では日本が全く成り立たなくなる。

          冠攣縮性狭心症と同じく、「患者数の多い、難しい免疫疾患」は、動きの遅い中央を地方がリードし得る分野でもある。 

         「世界における”地方”である日本」「日本の中の”地方”」には、もっと元気に頑張ってもらいたい。

          いずれにせよ、日本で「ステロイド」「生物製剤」の治療にたどり着くのは”非常に”難しい。(欧米諸国の想像を遥かに超えている)

          患者は、どうしても「治療法」に辿りつかなければならない。「患者が治療法に辿りつけるよう」医師達には「道」を作ってほしい。

          同時に「もっと安全かつ有効な治療法」を”早急に”開発して欲しい。「治療法にたどり着いたが結核でそれ以上に人口を失う」

          というシナリオは、極端な人口減、かつ、高齢化社会が原因で免疫疾患が急増する今後の日本にとって、最悪である。

 

とにかく、まず「治療体制」を整えて欲しい。

患者は、子供を育てなければならない、親をみなければならない、稼がなければならない。時間がない。

 

※中央に行くと、冠攣縮狭心症は、未だに「検査に異常が出なければならない」と言われる。

慢性疲労症候群には同疾患を併発する患者が多いだけに、これもナントカして頂きたいと切に願う。

 

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