違いを理解する

Frank Albrecht, PhD


 疲労性疾患は、よく他の病気、特に種々の情動的障害と混同されてしまいます。学校や医師がそのような間違いをしている場合、どのように子供を支えていったらいいのでしょうか?

学校恐怖症

最もよく混同されるのは、学校恐怖症です。学校恐怖症を持つ子供達は、いくつかの理由があって学校を恐れています、また、家から離れるだけで恐怖感を感じる子供もいます。いずれにしても、学校にいるときは病気で、家にいるときは元気なのです。従って、家にいても病気であったり、友達と遊んでいるときに病気になったり、家族で出かけたときに病気になったりする子供達は、学校恐怖症ではありません。

社会恐怖症

社会恐怖症(社会不安)を持つ人たちは、家族や、知らない人たちのグループの中にいることで恐怖を感じます。また、全ての知らない人に対しても恐怖を感じます。もし、5人かそれ以上の家族が集まってくつろいでいるときに病気のように見える、それを避けようとする、一人で家の外へ行かない、よく知っている店にも一人で行かない、子供のグループと一緒に遊ばない、ということがあれば、その子供は、社会恐怖症かもしれません。もし、グループの中にいても平気で、(歩道などで)知らない人と接することがあるとしても一人で出かけることができる、近くの店にお使いができる、とすれば、その子供は、社会恐怖症ではありません。

うつ病

 うつ病は気分障害です。機嫌が悪かったり、落ち込んでいるときが無ければ、うつ病はありません。うつ病の人たちは、楽しい状況でも機嫌が悪かったり、特定の理由が無くても悲しんでいたり、普通に楽しむことができません。また、やる気の低下も見られます。うつ病の子供達は、ふとんから出る、外に行って遊ぶといった普通のことをやりたがりません。もし、遊びたいのに病気で遊べない、しかし元気なときには楽しんでいる、悲しいとき(学校を休むときなど)以外は悲しそうではない、泣く理由が無いときには泣かないという場合は、その子供はうつ病ではありません。

不安症

 不安症は理由の無い恐怖感を現す医学用語です。もし、大きく、獰猛そうで、怖そうな犬を子供が怖がっても、それは不安症ではありません。大きさや人なつっこさによらず、どんな犬でも怖がる場合は、不安症です。何人かの子供達は、過不安障害と呼ばれていた病気に罹っています。現在では、過不安障害は、不安症の一部と考えられています。しかし、過不安という名前は、物事に過剰な不安を感じる子供達を表すうまい表現です。過不安の子供達は特に胃の痛みや頭痛等の身体症状を訴えます。下痢や便秘、睡眠不足の経験があり、摂食障害をもち、心配のせいで微熱が出たりします。もし、たくさんの身体的不調を訴えているけれども、恐怖感を持っていない、非現実的な恐怖を感じていなければ、その子供は不安症ではありません。

仮病

仮病とは故意に仕事や学校をサボることを意味しています。頭痛だと嘘をついて学校を休む子供は仮病です。たぶん、ほとんどの子供達は、経験があるでしょう。私もそうでした(大体上手く行ったことはありませんでしたが)。大変まれですが、仮病を頻繁に使う子供もいます。そのような子供達は、疑問の余地無く、何かの情緒障害を持っており、専門家にかかるべきです。もし、学校に行こうとしても行けない、宿題をやろうとしてもできないのであれば、その子供は仮病ではありません。

怠け者

疲労性疾患を持つ子供達は、怠け者であるといわれてしまいます。怠惰は子供でも大人でも自然なことではありませんが、他の子供達より活動的な子供達もいますし、子供達は、遊ぶことの方が他のこと(家事など)より好きだったりします。子供を怠け者と呼ぶのは、理解されるべき問題に名前を付けているだけに過ぎません。

誇張している

病気の子供は、みんなから「大げさすぎる」と言われるでしょう。他人の痛みや疲労についてそう言うのは簡単なことです。子供達が、少しの間は、注意を引こうとして痛みを誇張しているかもしれないことは認めます。しかし、痛みや疲労によって、子供がやりたいと思っていることができないでいる場合には、その子供は、誇張しているわけではありません。

ミュンヒハウゼン症候群

ミュンヒハウゼン症候群は、医療行為(手術も含まれる)を受けるために、患者が故意に病気を作り上げる特異な状態をいいます。まれな病気ですが、大変深刻で危険な病気です。子供に医療行為を受けさせたいために親(多くは母親)が子供の病気を作り上げるケースが数例報告されています。これは代理ミュンヒハウゼン症候群(MBP)と呼ばれています。これは幼児虐待の一種であり、子供は、すぐにその親の保護下から引き離されます。私は、CFSに罹っている子供を持っている母親達が、正式な手続きを経て、不当にMBPであると追求され、少しの間子供達から引き離されてしまった例を知っています。私の妻も、MBPであると医師から訴えられたことがあります。しかし、幸いなことに、正式な手順を踏んでいなかったため法的執行はされませんでした。このようは訴えは、子供の病気の原因が良く分からない場合には大変危険です(しかし、疲労性疾患の原因が明らかになるのは大変まれなことです)。詳しい情報は、Mothers against Munchausen syndrome by proxy allegations(英語) http://www.msbp.com/を参考にしてください。




翻訳:
Jp-Care




原文:
For Parents of Sick and Worn-Out Children
by Frank Albrecht, PhD

The regional clinic at Talbot
17S. Washington Street
Easton, MD 21601
TEL: 410-822-5580
Email: franka@skipjack.bluecrab.org



Copyright © 2001-2002 Co-Cure-Japan, all right reserved
ご意見/ご感想はこちらまで。
Please report any problems with this page to the Webmaster.

元へ戻る


inserted by FC2 system