医師との対話、医師への理解

Frank Albrecht, PhD



子供がCFSNMHFMまたは他の疲労性疾患に特有の症状を示している場合、医師はそれを見抜けないことがあります。医師は、あなたに「検査の結果は全て通常の範囲内です」、「どこも悪いところが見つかりません」と言い、それでこの問題は片付いたと考えるかもしれません。「もう帰りなさい、また子供を学校へ送り出して、もう、このことは忘れてしまいなさい、そういう疑いを持たなければ、何も問題は起こりません。」これが、たぶん、医師の言葉に含まれているメッセージなのです。

医師がそうでなくとも、専門家(イギリスではコンサルタント)がそうかもしれません。最近では、適切な援助を受けることが難しくなっているのです。

 どうやってこのような状況を切り抜けていったらいいのでしょうか?

先ず始めに、問題がどのように医師の目に映っているかを考えてみましょう。子供は健康そうに見えます。これは、これらの病気に潜んでいる、姿を現さない悪魔です。加えて、標準的な検査や身体検査でも何の異常も見つかりません。たぶん、喉が少し赤くなっているため、医師は、なにかのウイルスに感染したのではないかと疑うでしょう。それは自然に消えて行きます。また、いくつかのリンパ節が、腫れて、敏感になっているでしょう。これらも、症状を呈しては消えて行きます。医師は、そういうことをいつも目にしています。反射作用も良好で、むしろ元気であると言えるます。どの結果も病気に罹っていることを示してはいません。あなたがそう訴える以外には。

 たぶん医師は、あなたのことを良く知らないでしょう。昔は(それほど昔では無いけれど)違っていたかもしれませんが、今では、医師が一人の患者の診察にかける時間は5〜10分で、医師と話し合ったり、お互いを良く知り合い、好意を抱き、理解をするための会話をする十分な時間がありません。そのため、医師は、あなたがたを見知らぬ人とその子供と思っています。子供の外見には何も異常は見られないのに、不満ばかりを訴えています。この子は、不満ばかりを言う子供なのかもしれない、母親が結婚で上手くいっていないので、子供は母親への同情から表現障害になってしまったのかもしれない、学校でのストレスが身体的症状として現れているのかもしれない、または抑うつかもしれない、と医師は考えるでしょう。しかし、精神科医ではない医師であれば、どうやってそれらが見分けられるのでしょうか?

もちろん、あなたは、「どれにも当てはまりませんけれども、どこが悪いのでしょうか?」と尋ねることはできます。こういうときに人はよく嘘をつきますし、医師は、子供のことよりももっと、あなたのことを知りません。

このことは、あなたを信頼してもらえるような方法で、あなたがどのような人間なのか、病気に対してどれだけの知識があるのかを医師にしっかり伝えなければならないことを示しています。

医師は、あることに対処するとき、一回に一つのことだけ取扱うようにと教えられています。あなたがこのことを知っておくことは重要です。あなたは、喉の痛み、腫れ、skin growth、咳、熱と説明して行きます。医師は、それらを10分に満たない時間で調べ、診断し、治療するのです。あなたが病気と疲労感について説明するころには、医師は、明らかに相互に関係の無い症状がたくさんあると思うでしょう。そのような場合、医師はその中から一つの症状に着目して、それを治療しようと試みます。これは、疲労性疾患を持つ方々に対して上手くいかない典型的な手法です。

残念なことですが、事実であり重要な一面として、医師や病院の経営者達にとって、複雑で治療の難しい慢性病の患者を診ることは赤字につながってしまうのです。入院期間は、平均より長くなり、情報を調べたり、紹介状を書いたり、たくさんの書類を書いたりするのに膨大な時間がかかります。保険会社やHMO(Health Maintenance Organization、民間の保険会社)はそういったことには支払をしないため、慢性病の診察に十分な時間をかける医師達は、事実上、自分達の収入を犠牲にしているといえるのです。

 医師の中にはそのような犠牲を払いたくないと考える方もいます。

では、どうしたらいいのでしょうか?

 答えは簡単です。ボーイスカウトの精神を持つことです(あなたが女性でも)。

すなわち「そなえよつねに」

 無視、無関心、敵意、傲慢に対する心構えをしておくのです。

洋服に気を配る
カジュアルな服でもいいですが、だらしなかったり、汚れていたりしてはいけません。誰もがそうであるように、医師たちも、外見でその人の性格を判断してしまいます。もし、あなたが仕事の打ち合わせをする時に着て行くような服を着ていれば、もっと真剣に取り合ってもらえるかもしれません。

情報を集める
病気について理解を深めてください。信頼できる文書(特に他の医師たちによって書かれたもの)を見つけたら、一緒に持って行き、医師に渡してください。そして、目を通してもらうようにお願いして下さい。ちゃんと読んでいただけるように、丁寧に念を押してください。

文書
CFSや関連疾患は、活動が制限される病気です。どれぐらいの時間立っていられるか、起きていられるか、歩けるか、文章を書けるか、読めるか、休みなしでどこまで行けるか等をノートに書いておいてください。これらの制約があるために、子供達が楽しい旅行に行けなくなるということを、分かりやすく書いておいて下さい。学校に行けないだけではなく(医師は学校恐怖症を疑っているので)、30分以上は友達とも過ごせない、(大好きな)サッカーもできない、夕食の時間も途中までしかテーブルに着いていることができないというように。または、学校には行けるけれども、家に帰ってくると6時間は寝込んでしまう、宿題ができるほどはっきりと考えることができない等。これらの事をはっきりと簡潔に書きとめ、コピーを取って、医師に渡し、読むようにお願いしてください。医師にそれを返させてはいけません。記録に付けてもらうようにお願いしてください。そして、あなた自身も、コピーをちゃんと保管して置いてください。

協力的でいる
医師に何かを試してほしいといわれたときには、あなたはそれが無駄だと知っていても、やってみてください。カウンセラーや精神科医に診てもらうようにいわれたら、そうしてください。もし、他の専門家のところへ行くようにいわれたら、まったく無関係だと思っても、その専門家のところへ行ってください。そのときには、あなたの病気に関する基本的なことが書かれたものを持って行き、専門家、または精神科医にその時に読んでもらうようにしてください。

礼儀正しく、しっかりと主張する
文書を持って何度も医師を訪れ、症状はまだ続いていることを伝えてください。

選択
医師がまったく興味を示さず、新しいことを学ぼうとする力が無いと思え、敵意が感じられるようになったら、他の医師を探してください。

 私は、これらのことが、スムーズな医師への理解につながっていると断言できませんが、少なくとも良い機会が得られるのではないかと思っています。




翻訳:
Jp-Care




原文:
For Parents of Sick and Worn-Out Children
by Frank Albrecht, PhD

The regional clinic at Talbot
17S. Washington Street
Easton, MD 21601
TEL: 410-822-5580
Email: franka@skipjack.bluecrab.org



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