うつ病と
CFS/FM

Mette Marie Andersen, MD

Mail Magazine ME/CFS Information, No.75, 2003.4.10.


サイト:http://www.cfs.inform.dk/Cfsdepression/cfsdepression.html
原題:Depression and CFS/ FM
著者:Mette Marie Andersen, MD



●CFSとうつ病
CFS/FM患者の多くが、うつ病で苦しんでいます。しかし、CFS患者はどのタイプのうつ病であるのかという、大きな問題があります。思い当る原因がないのに、深刻な内因性のうつ病に悩まされている患者もおり、現在ではそれらは脳組織の障害として広く受け入れられています。また、CFSのような深刻な慢性疾患と対照的に、人生における喪失が原因となり、うつ病に悩まされている患者もいます。将来的には、こういったうつ病の背景には、脳−生化学的、器質的障害があることが明らかにされるでしょう。最後に、「うつ病」という名称は、単に症状を表現するためのものに過ぎず、日常、「うつ病」という名称は明確な定義無しに使われていることを付け加えておきます。


●うつ病とサイトカイン
医学的疾患がうつ病の原因となることがあります。たとえば、サイトカインや免疫の活性化などがあげられます。[Iserson,2000]


●CFSにおけるうつ病研究
[Morriss etal,1999]は、CFS患者のうつ病(またはうつ病の治療)と疼痛や医学的に説明できないそのほかの症状には、関連が見られないと結論づけています。一方で、著名なLapp医師は、CFS治療に抗うつ剤を使うことを薦めています。[advice,Lapp,2001(table)],[advice,Lapp,2001]


●FMにおけるうつ病研究
うつ病の患者は、FM患者と異なり、圧痛点が見られないことが明らかになっています。[Fassbender etal,1997]それとは対照的に、急性単核症の患者には、圧痛点がみられています。[Rea etal,1999]FMとうつ病の関係は、[Okifuji etal,2000]により研究が行われています。FM患者に対して、2種類の強い抗うつ剤を投与した結果、プラセボ群との差は見られませんでした。[Hannonen etal,1998]また、FM患者へ、抗うつ剤Citalopramを投与したところ、異なった結果が得られています。[Anderberg etal,2000]

抗うつ剤治療を行った2000例のFM患者のメタ解析から、抗うつ剤は疼痛の低減に有効であると報告されています。[O'Malley etal,2000]しかし、その後の研究では、プラセボ群でも同程度の効果が見られています。[Heymann etal,2001]


●うつ病:CFSとの比較
種々の認知機能試験による、CFS患者とうつ病の比較が行われています。[Lawrie etal,2000]同研究グループは、同一の患者群を対象に脳内スキャンSPECT検査を行い、CFSとうつ病は相違点もあるが類似性も見られると述べています。[Machale etal, 2000]海外事業関係者におけるCFSの研究[Lovell,1999]が行われ、血流量の低下は、うつ病に起因するものではないことが報告されています。うつ病と疲労の重複に関する研究も行われています。[Axe & Satz,2001]CFS患者に対して、古くから使われている抗うつ剤moclobemideの効果の検討が行われ、多少の改善が見られています。[Hickie etal,2000]


●治療法の提案
CFSに対する6ヶ月間の3種の抗うつ剤投与に関する公開研究が行われ、特筆すべき薬剤はありませんでしたが、全ての抗うつ剤で、有効な臨床効果が見られています。[Janu,2002]また、最近の研究では、CFSやFM以外の多くの身体疾患に対して抗うつ剤が有効であることが示されています。[Allgulander & Kasper,2002]ハーブHypericumやSt.John's Wortは、気分の落ち込みや軽度のうつ病に効果的であるという報告があります。[Cuccinelli,1999],[a Cochrane review,Mulrow,1998],[a Medscape review, Cirigliano,2000]2002年NIHの概要では、これらのハーブは、うつ病の制御に効果が見られないとしています。[NIH,St.John's Wort,2000]

セントジョーンズワートとそのほかの薬剤(チトクロームP450代謝系に影響するもの)の相互作用に対する注意がなされています。[FDA,warning,2000]

軽度のうつ病に推奨されているサプリメントSAMe(S-AdenosylMethionine)は、 初期に治療薬として注目されていましたが、現在ではあまり聞きません。製薬会社からの情報はこちらにあります。[Immunesupport,SAME,1997]参考文献集はこちらにあります。[SAME,ref,1995]



翻訳:Co-Cure-Japan, Jp-care


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