再生医療研究者たちについて

 

報道を聞く限り、再生医療の研究者たちの説明は一般社会では通用しないものが多い。

あまりにも簡略化しすぎている。

 

自己免疫疾患に分類される病気に対しても、「〜〜病では、〜〜の遺伝子が関与して

いることがわかり、〜〜(加工)したら、発病する部分を切り取れるので発病しなくなり、

再生医療によって治療できる」というタイプの説明を聞くが、特に自己免疫疾患の場合、

「遺伝子関与」の率は”低い”といわれる。すべてを遺伝子だけが決定するわけではない。

まず冒頭に「〜〜病は、何パーセントの確率で遺伝子の関与があり」という説明がない限り、

一般社会では「誇大広告」、あるいは、株主から「納得できない」と大変な文句が来る。

 

この手の説明は、「アラスカに行けばオーロラが見える」と宣伝したある旅行会社を

公正取引員会が”誇大広告”で挙げたケースと同じく、「事業者側に都合のよい」説明である。

一般社会が、「この程度の説明で納得出来る」と考えている「再生医療研究者」の考え方が

よくわからない。(一般社会を知らなさすぎる。一般社会はそこら中に理系がおり、たとえ

理系でなくとも、一般社会は、政治・経済・法律、いずれも「論理」で成り立っている限り、

甘い説明は通用しない。一般社会は医学界が考えているより 「はるかに厳しい」

 

※医学界に属するの人々は気づいてほしい。

あなた方がどれだけ優遇されているか。

日本では、「生命科学だから」という理由だけで、

どれだけ一般社会とかけ離れて生活することを許されているか。

どれだけ一般社会を知らないか。

少なくとも、自分たちがやっていることを、「一般社会に」しっかり説明できなくては、困る。

「一般社会」は、一般社会を知らない研究者が容易に対処できるような甘い世界ではない。

一般社会への説明というものは、例えば「自動車」と同じレベルでなされなければ、納得は得られない。

それでも粉飾決済などの大問題が次々に出てくる。消費者庁や公正取引委員会が必要になる。

再生医療研究所も大きくなろうとしているようだが、「大組織」は、とにかく難しい。

「大組織・巨大組織」は、世間知らずの医科学研究者がコントロールできるようなシロモノではない。

 

日本ほど、医学が一般社会とかけ離れた西洋諸国は存在しない。

(西洋医学は、日本にとって「異文化」である)

一般社会から寄付を集めるほど「一般社会」に寄るのであれば

これまでの「特権階級意識」は通用しないことを肝に銘じ、自ら「一般社会の一員」となり、

「一般社会が納得する形で」全体を進めなければ西洋と同じには「ならない」

”形”だけ西洋の真似をしても、”内容”は、決して「同じ」にならない。

 

研究はもっともっと進めてほしい。

ただ、一般社会に対する説明を聞く限り、今、再生医療研究者たちやっていることは

日本の臨床現場で起きている「患者不在の医療」と同じことである。

その方向性が「何」を示すのか。一人くらい、気づく研究者がいてほしいものである。

そして、なんとか頑張ってほしい。

海外の「商品」に法外なカネを払わされるのは、もう沢山である。

 

Co-Cure-Japan, 2016年5月 (revised in Aug)


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